「人間ドックのオプションに腫瘍マーカーがあるけど、受けた方がいいの?」
臨床検査技師として働いていると、友人や家族からこの質問をよくされます。結論から言うと、「がんの早期発見が目的なら、腫瘍マーカーはあまりおすすめできません」。その理由を、検査の現場から正直にお伝えします。
そもそも腫瘍マーカーとは?
腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す物質や、がんに反応して体が作る物質を血液で測定する検査です。CEA、CA19-9、CA125などいくつかの種類があり、それぞれ異なるがんと関連しています。
「数値が基準値内=がんがない」ではない
腫瘍マーカーには偽陰性という問題があります。つまり、がんがあっても数値が基準値内に収まることがあるのです。
早期のがんはマーカーの数値に反映されにくく、「正常でした」という結果を見て安心してしまうことが、むしろリスクになり得ます。
症状がある場合は、診察を受けることをおすすめします。
「数値が高い=がんがある」でもない
反対に偽陽性の問題もあります。がんがなくても数値が上がることがあるのです。
炎症、良性の腫瘍、喫煙、飲酒、糖尿病など、様々な原因で腫瘍マーカーの数値は変動します。「数値が高い」という結果が出ると必要以上に不安になり、追加検査を繰り返すことにもなりかねません。
では腫瘍マーカーは何のためにあるのか
腫瘍マーカーが本来得意とするのは、すでにがんと診断された方の治療効果の確認や、再発のモニタリングです。治療前後で数値を比較することで、治療が効いているかどうかを判断する手がかりになります。
スクリーニング(症状のない健康な人ががんを早期発見する)目的での使用は、医学的に推奨されていないのが現状です。
がんが心配なら何を受ければいい?
部位ごとに精度の高い検査があります。
| 気になる部位 | おすすめの検査 |
|---|---|
| 胃 | 胃カメラ(胃内視鏡) |
| 大腸 | 大腸カメラ(大腸内視鏡)、または便潜血検査 |
| 肺 | 低線量CT |
| 乳房 | マンモグラフィ、超音波 |
| 子宮・卵巣 | 婦人科検診 |
まとめ
腫瘍マーカーは「受ければ安心」という検査ではありません。正常でも油断できず、高くても慌てる必要がない場合もある。それが腫瘍マーカーの実態です。
「どの検査を受ければいいかわからない」という方は、まずかかりつけの医師に相談することをおすすめします。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療判断を行うものではありません。


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